ねこまたぎと呼ばれる魚の秘密に迫る｜名前の由来や地域ごとの違い、食べ方も紹介

ねこまたぎとは魚に使われる独特な表現の意味と由来

魚市場や漁師の間で時々耳にする「ねこまたぎ」という言葉。これは単なる呼び名ではなく、独特の意味や背景があります。

ねこまたぎと呼ばれる魚の特徴

「ねこまたぎ」とは、漁港や魚市場などであまり人気のない魚に使われる表現です。名前の由来は、猫でさえもまたいで通り過ぎるほど、好まれない、または食べられない魚を指すとされています。主に新鮮ではない魚や、強い臭いがあったり、小骨が多かったりする魚に使われることが多いです。

この言葉が広まった背景には、魚を選ぶ際の人々の好みや、流通の仕組みも関係しています。冷蔵や流通技術が今ほど発達していなかった時代には、傷みやすい魚や、調理が難しい魚が敬遠されやすかったことも理由のひとつです。また、見た目や調理の手間なども「ねこまたぎ」と呼ばれる要因として挙げられます。

日本各地で異なるねこまたぎの捉え方

「ねこまたぎ」とされる魚やその扱い方は、地域によって大きく異なります。例えば、ある地方では全く人気がない魚が、別の地域ではごちそうとして親しまれていることも珍しくありません。この違いは、食文化や調理法、魚種の豊富さなどが影響しています。

たとえば、同じ魚でも、新鮮なうちに郷土料理として調理される場所では「ねこまたぎ」とは呼ばれず、逆に流通が行き届かない地域や調理法が限られている場所では、扱いづらい魚が「ねこまたぎ」とされやすいです。このように、各地の食文化が魚の評価に大きく関わっています。

ねこまたぎの言葉が生まれた背景

この言葉が生まれた背景には、漁業の発展や市場の変化だけでなく、生活様式の変化も影響しています。かつては新鮮な魚をすぐに食べることが難しく、保存や調理の工夫が重要でした。そのため、扱いの難しい魚や傷みやすい魚は、自然と敬遠される存在となったのです。

また、価格や流通の事情も影響しています。安価で大量に獲れるものの、消費者にあまり好まれない魚は市場で売れ残りやすく、結果として「ねこまたぎ」と呼ばれるようになりました。人々の食生活や流行が変わる中で、こうした言葉が生まれ、使われてきたと考えられます。

ねこまたぎとされる代表的な魚とその理由

「ねこまたぎ」と呼ばれる魚にはいくつか代表的な種類があり、それぞれに特徴や呼ばれる理由があります。ここではその代表例と理由について見ていきましょう。

ヒイラギがねこまたぎと呼ばれる理由

ヒイラギは、細かい小骨が多く、独特のぬめりや匂いが特徴です。市場ではしばしば「ねこまたぎ」の代表格として扱われます。その理由は、食べにくさや調理の難しさにあります。特に小骨の多さは、調理や食事の手間を増やし、苦手意識を持つ人も少なくありません。

一方で、ヒイラギは下処理や調理法を工夫すると、旨みが引き立つ魚でもあります。例えば唐揚げや南蛮漬けにすると、骨が気になりにくくなり、食べやすさも増します。ただ、こうした工夫がなければ猫さえまたぐという意味で「ねこまたぎ」と呼ばれてきました。

タカノハダイやアイゴなど他のねこまたぎ魚

ヒイラギ以外にも、「ねこまたぎ」とされる魚が複数あります。タカノハダイは身に独特のにおいがあり、アイゴはヒレに毒があるため取り扱いが難しいです。これらの魚は、漁獲量はそれなりにあるものの、一般家庭の食卓には並びにくい存在となっています。

また、カワハギの仲間やコノシロなども地域によって「ねこまたぎ」とされることがあります。これらの魚も、調理の手間や味の好みが分かれやすいことが理由です。流水や下処理でにおいや苦味を和らげることで、美味しく食べられることも少なくありませんが、そうした調理法が浸透していない地域では、「ねこまたぎ」とされる傾向があります。

ねこまたぎとされる魚の食味や評価

「ねこまたぎ」と呼ばれる魚は、必ずしも味が劣るわけではありません。たとえば新鮮なヒイラギやアイゴは、適切に調理すると美味しく食べることができます。食味の評価が低いのは、主に調理の難しさや見た目、におい、小骨の多さなどが理由です。

また、評価は時代や地域、個人の好みによって変わります。食文化が多様化した今では、昔は敬遠されていた魚が再評価されるケースも増えてきました。調理技術の発達やレシピの普及により、かつての「ねこまたぎ」が食卓で活躍することもあります。

地域によるねこまたぎの意味や使われ方の違い

「ねこまたぎ」と一口に言っても、その意味や使われ方は地域ごとにさまざまです。各地での違いやエピソードを見ていきましょう。

北海道や東北でのねこまたぎの意味

北海道や東北地方では、サケやニシンなどが豊富に獲れるため、ほかの魚が「ねこまたぎ」と呼ばれることがあります。例えば、身が柔らかすぎる魚や、においが強い魚は、猫すらまたいで通るほど人気がないとされました。

しかし、郷土料理として定着している魚も多く、地元でしか味わえない伝統料理に仕立てられていることもあります。寒い地域ならではの保存技術や、独自の調理法が発展しているのも特徴です。

関東や関西でのねこまたぎ魚の扱われ方

関東や関西では、魚の流通が発達しており、さまざまな魚種が市場に並びます。そのため、「ねこまたぎ」とされる魚は、やや個性的な味や、下処理が難しい魚であることが多いです。たとえば、関東ではアイゴやタカノハダイ、関西ではウグイなどが挙げられます。

また、都市部では消費者が魚の調理に慣れていない場合が多く、下処理の難しい魚は敬遠されがちです。一方で、専門店や居酒屋では、こうした魚を工夫して提供する例も見られます。家庭であまり調理されない魚も、プロの手によって評価が高まることがあります。

地域ごとに異なる魚種やエピソード

「ねこまたぎ」とされる魚種は、地域によってさまざまです。たとえば、九州ではトビウオやボラがこの表現で呼ばれることがあり、四国ではカジカなどが該当します。これらの魚は、その地域の漁獲量や食文化に深く関係しています。

また、昔は食べられていなかった魚が、現代ではごちそうとして認識されるようになった例もあります。たとえば、サバやアジなどは保存技術の発展によって人気が高まり、昔の「ねこまたぎ」が今では誰もが知る定番魚になっています。

ねこまたぎ魚の美味しい食べ方と楽しみ方

「ねこまたぎ」と呼ばれる魚も、調理や工夫によって美味しく楽しむことができます。その魅力やおすすめの調理法を紹介します。

ねこまたぎ魚を美味しく食べる調理法

小骨が多い魚は、唐揚げや煮付けで骨ごと食べる調理法が合っています。また、においが気になる魚には、酢や味噌を使った味付けがよく合います。以下は代表的な調理法です。

• 唐揚げ：骨ごとカリッと揚げることで、食べやすくなります
• 南蛮漬け：揚げた後に酢や野菜に漬けて風味をアップ
• 味噌煮：独特のにおいを和らげつつ、コクが加わります

これらの方法は、家庭でも簡単に取り入れることができ、苦手意識を和らげるポイントです。調味料や加熱方法を工夫することで、ねこまたぎ魚の魅力が一層引き立ちます。

旬の時期や選び方で変わる味わい

ねこまたぎ魚も、旬の時期には味が大きく変わります。新鮮なものを選ぶことが美味しく食べるための第一歩です。魚を選ぶ際は、目が澄んでいるか、身に張りがあるかをチェックしましょう。

また、旬の時期は魚の脂がのり、臭みも少ないため、調理の幅が広がります。魚ごとの旬を覚えておくと、より美味しく味わうことができ、料理の満足度も高まります。

魚の名前	旬の時期	おすすめ調理法
ヒイラギ	冬〜春	唐揚げ、南蛮漬け
アイゴ	初夏〜秋	味噌煮、塩焼き
タカノハダイ	春〜初夏	煮付け、揚げ物

ねこまたぎ魚を楽しむおすすめレシピ

ねこまたぎ魚は、レシピを工夫することで新たな美味しさを発見できます。例えば、ヒイラギの唐揚げは小骨が気にならず、子どもにも食べやすい一品です。下味に醤油や酒を使い、片栗粉をまぶして揚げるだけで、外はカリッと中はふっくら仕上がります。

アイゴの味噌煮は、味噌の風味がにおいをおさえ、身の旨みを引き出します。また、タカノハダイは煮付けにすることで、独特の風味が和らぎご飯によく合うおかずになります。調理のポイントは、下処理を丁寧にすることと、味付けをやや濃いめに仕上げることです。

まとめ：ねこまたぎと魚介の多様な魅力を知り食卓を豊かにしよう

「ねこまたぎ」と呼ばれる魚は、見方を変えれば地域ごとの食文化や工夫が詰まった存在です。調理や味付け次第で、普段は敬遠されがちな魚も、食卓の新しい主役となることがあります。

魚介の多様さや、地域ごとに異なる捉え方を知ることで、魚料理の幅が広がります。これからもいろいろな魚を楽しみながら、食卓をより豊かに彩ってみてはいかがでしょうか。